「実感のない景気拡大」と「企業間格差」

 2002年に始まった今回の景気拡大は今年で丸5年を超え、戦後最長となりましたが実感がありません。それは、今回の景気拡大は、「戦後最長」であっても「最大規模」では無いと言う事です。「いざなぎ景気」の時は、同じ5年でパイが倍以上になったから、みんなが好景気の恩恵を受けることができたけれど、今回は4%しか増えていないためパイの分け前を受けられない人の方が多いからです。最近よく言われている「格差」であります。
 格差の種類にはいくつかあります。①企業規模別では、リストラと海外生産シフトを終え輸出が好調な大企業と、その狭間で苦しみ今なお水面下にある中小企業 ②企業利益は上がった大手企業も、今後の国際競争力に不安を抱いているため、幹部クラスの給与は上がったが一般の給与は上がっていない。また③バブルに近い活況を呈している東京近郊と地方の格差も益々大きくなる。そして最近は④経営力の格差が大きな「企業間格差」を生み出しております。
 戦後、今の日本経済を支えてきた父親たちの時代は、基本的な枠組みは対米依存でありました。そしてみんな若くて貧しかったから、アメリカの背中だけを見て一生懸命頑張っていればよかった。
しかし今は、中国をはじめとしたアジアの台頭による影響を直接受けるようになりました。国内的にも人々は豊かになりかつ高齢化してきています。一方ITがすごいスピードで普及し、環境への配慮も必要な時代になりました。
この変化は、経営を非常に複雑なものにし、いまや先見性やスピードという総合資質を持った経営者でなくては、生き残れない時代に入りました。
 めまぐるしい環境変化は、何もしない受身の企業にとっては逆風でしかありませんが、積極的に受け止める企業には大きなビジネスチャンスです。
変化を捉え(情報)果敢にチャレンジし(行動)スピーディーにビジネス化する(仕組み)企業こそ、この格差社会を乗り切って成長発展を続けることができるのです。