ポイント還元制度とキャッシュレス時代

 2019年10月に予定されている消費税増税に合わせて、ポイント還元制度の導入が検討されています。ポイント還元制度とは、消費者が中小店舗で商品やサービスを購入する際に、キャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)で代金を支払った場合には、購入額の最大5%のポイントが付与される制度です。

 政府は、まず、クレジットカード会社などのキャッシュレス決済事業者を募集し選定します。その後、お店を経営している中小企業は、それぞれのキャッシュレス決済事業者に登録を行い、キャッシュレス端末などのキャッシュレス手段を提供してもらいます。対象の店舗で消費者がキャッシュレス決済をすると、キャッシュレス決済事業者が、いったん消費者にポイントを付与します。そして、その負担分を後から国が補助する形になります。現状、制度実施期間は、増税後9ヵ月間とされています(2019年10月1日~2020年6月30日)。

 安倍政権は前回、2014年4月に5%から8%に消費税を引き上げた際、景気が大きく落ち込んでしまったことがトラウマになっています。今回はこの反省を踏まえて、反増税対策として打ち出されたもので、8%から10%への増税どころか、減税とさえ言えるような政策で、必要な費用は3,000億円に膨らむ見通しです。そこまでするなら、そもそも消費税を上げなければいいと思えますが、政府は消費税増税に備えて、景気対策を矢継ぎ早に発表しています。自動車保有にかかわる税負担の軽減、住宅ローン減税の拡充、住宅購入時の一時金支給、住宅エコポイント制度の復活、プレミアム付き商品券の発行、そして極め付きがこの5%のポイント還元です。

 政府がキャッシュレス化にこだわるのは、事業者の経営効率化・生産性向上、外国人観光客への対応、脱税防止、支払いデータの活用などの利点が大きいためです。今回のポイント還元制度により一気にキャッシュレス化が進むことが想定されるので、事業者も早急に対応する必要があります。

 一方、我々国民にとってはこれらの対策は増税分を取り戻せるばかりか、それを超えた分まで獲得することが出来ることにもなるので、上手に活用することが重要になります。