不況こそチャンス

 昨年暮れには、鈴木さん、根岸さん両氏の日本人ノーベル賞ダブル受賞の明るいニュースがあり、自信をなくしかけていた私たち日本人に大きなエールとなりました。しかし私たち中小企業経営者は、いまだ先行きの見えない逃げ場のない不況の中で、大変苦しんでいる現状があります。これは国内消費がまったく伸びておらず、世界の中で日本のGDP成長率が最もマイナス幅が大きくなっていることに起因しております。好調だったのは市場成長率の高い海外市場へ逃げた大手の企業だけであります。しかし多くの中小企業は海外シフトに追随できる環境ではありません。
 今中小企業にとって大切なことは国内市場を見直しその深堀をすることであります。バブル崩壊等過去の深刻な不況時でも、常に約30%の企業は好調を維持しています。我々の周りを見てもライバル企業の中で増収増益を果たしている企業はいくらでもあるのです。むしろ不況時にぐっとシェアを伸ばす傾向が見られます。不況期には、商品ブランドや仕入れ先をもう一度選択し直すという顧客行動の変化が起きます。そこにいち早く正しく対応できた企業は市場地図を一気に塗り替えることが可能になります。その意味では「不況はまさにチャンス」なのです。また不況時には企業収益は減収に転じるため、企業の前向き投資は削減され、どこかに集中する必要が出てきます。これは競合他社も同じであります。いかに「有望市場を見極めそこに経営資源を集中」できるかが勝負になります。逆に、不況時に動いても仕方ないと何にもしなければ、戦略的に動いたライバル社によってシェアは確実にもっていかれることになります。
 前回のこの会報COMに掲載しましたSWOT分析で「わが社の強みと不況化における経営環境の変化」をクロス分析してください。顧客要望の変化およびライバル社の動きを洞察し、確かな「儲けの仕組み」の方向決定が浮かんできます。そこで最も重要なのは「選択と集中」および「行動計画」であります。私たち中小企業は、人、物、金、情報という経営資源は決して豊かではありません。ここぞと思う所に絞り込み、全エネルギーを投入する必要があります。また中小企業の特性はスピードにあります。どこよりも早く取り組み市場確保をすることです。そのためには詳細な行動計画を立てることが重要です。何時、誰が、何を、どんな方法で・・・を決め、確実に実行してゆくことであります。
 不況だから・・・とあきらめず、前向きに十二分な考える時間をとることが大切です。次々と新たな方向性が見いだせるはずです。今年はチャンスの年と位置付け成長を目指しましょう!