今年の日本経済のゆくえとその対応

 平成 26年の暮れは、国会解散から総選挙とあわただしく過ぎていきました。私は 11月中旬、安倍総理が外遊から帰る直前に、税制改正要望書を持って国会へ行っていましたが、解散を予想してか、国会の中は何か閑散としており異様な雰囲気さえ感じました。
 総選挙は自公民の圧勝で終わりましたが、肝心の日本の経済の方はどうなっているのでしょうか。昨年のGDP成長率は大方の予想に反し、消費税アップの落ち込みが大きく、4 月から 9 月まで 2 四半期連続のマイナス成長という深刻な状況になっています。
 昨年は 10 月の日銀による追加金融緩和に象徴されるように、異次元金融緩和により大幅円安が進み、海外マーケットを目指す大企業と株や資産を多く持つお金持ちは大いに潤いましたが、国内マーケットが全ての中小企業は輸入資材等の高騰が進み、また大手企業が集中する中央と地方の格差は拡大し、低所得者層は物価上昇により実質賃金が下がる等負担が増加しているのが現状です。
 本来これらの対応としてアベノミクス第 3 の矢「民間投資を喚起する成長戦略」が打ち出される大切な時期に、その重要法案を先送りし解散総選挙を実施したことにより、成長政策が大きく遅れたことが懸念されますが、一方 9 月以降の経済指標をみると総体的に上向いており、後半は緩やかに持ち直してくるという見方がされています。また、中小企業や地方活性化支援のための財政出動がさかんに論じられており、早期の政策実施が行われると期待されます。
 しかし、政府ができることは成長のための環境整備の支援であり、自社の成長は私たち企業人自身の責任です。自己改革し利益を確保する必要があります。
 最近、日本の中小企業の利益が少ない理由として、生産性の悪さが強く指摘されています。この課題に取り組むことが今最も重要です。生産性をアップする要因はいくつかありますが、対外交渉の必要がない、自社内で実施できる改革が一番確実です。たとえば ①ロスを減らす②作業時間の短縮 等は直ちに利益増加につながります。どちらにも共通して、準備や段取りの徹底、業務分担の見直し、シフト制や分業化等の検討がポイントになるでしょう。今年の取組みのテーマの一つに考えてみることも一考でしょう。