アベノミクス相場で株価が大きく上昇し、消費者や企業のマインドも上向いた2013年でした。アベノミクスの3本の矢の第1の矢「大胆な金融緩和」により市場に十分な資金が投入されました。その結果、民間金融機関が日銀に開設している当座預金の残高と市場に流れている資金の合計であるマネタリーベースでみると、4月には155兆円であったものが、11月には191兆円に膨れ上がっています。36兆円という大量の資金が市場に投入されました。しかし中身を見てみると、その大部分は金融機関の当座預金に眠っており、実際に市場に流れている資金量はなんら変わっていないというのが実態であります。まだまだ市場は投資に向かっている現況ではありません。
一方、アベノミクスの第2の矢「機動的な財政支出」による大幅な公共投資により建設業界は大きく潤い、加えて消費税の駆け込み需要も重なり仕事が追い付かない状況であります。しかし公共投資もいつまでも続けられるわけではありません。国の借金が1,200兆円になろうとしています。
我が国の人口は確実に今後も減少し続け、社会福祉の負担が過度に増大し続けてゆくことも明白であります。
円安は輸出産業を元気づけましたが、一方石油はじめ多くの資材の高騰をも生み出しました。また給与アップは一部の大手企業において実施されましたが、経常的な消費拡大につながるところまではいっていません。4月以降の消費税増税による消費の冷え込みもあり、まだまだアベノミクスは道半ばであります。
しかし、中小企業経営者に昨年暮れに行った今後の景況感のアンケートを見ると、今後は良くなっていくだろうと出ております。長い間抑圧されていた先行き不安から20年ぶりに明るさを感じているのは事実でしょう。
アベノミクス第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」は、政府の後押しをチャンスとし、私たち民間企業が自ら活力を取り戻すことであります。今後の期待感を本物にするのは私たち自身である自覚がいま大切でしょう。
「国が私たちに何をしてくれるか」ではなく、「私たちが国に対し何ができるか」を考えるべき重要な年となります。