東日本大震災以後、我が国のさまざまな課題が噴出し、私たち中小企業は、
今まさに経営戦略の抜本的な見直しを迫られています。
ヨーロッパの経済危機やアメリカ国債の格付け引き下げにより、ドルの信用不安が
歴史的な円高をもたらし、輸出産業に大きな打撃を与えました。
加えて原発停止により、全国的電力不足が避けられなくなっています。
さらに震災復興資金確保に世界に比較して高率な法人税の減税案も実質的延期が提案され、
国際競争力がなくなる企業は悲鳴をあげる環境であります。
ただでさえ人口の減少による国内マーケットの縮小の中、拡大する海外のマーケットを目指す企業の
海外移転が、モーレツにスピードアップされることは間違いないでしょう。
その結果、国内から仕事が消え、雇用も激減してゆく不安が大きくなっています。
さらに日本国債の格下げ、そして一向に変わらない政治力の貧困。
まさに中小企業はやり場のない不安でいっぱいの現状です。
そんな自信を無くしかけている日本人の心に希望の灯をともしたのは、
「被災者に勇気と希望を」スローガンに掲げ、素晴らしい力を発揮した「なでしこジャパン」でした。
日本中が毎晩遅くまでテレビにしがみついて大きな声で応援し続けました。
そしてアメリカとの決勝戦、絶体絶命の中、最後澤選手の奇跡的とも思えるゴールに歓喜し、
PK戦で勝利した瞬間、私たち日本人は大きな自信を取り戻すことができました。
また夏の甲子園では青森の光星学園の準優勝の頑張りが、震災で苦しんでいる東北の人々に
大きな勇気を与えました。
これらから学ぶことは、日本人は確固たる目標を持ち、そのために心を一つにした時
とてつもない力を発揮できる民族であるということです。
私たち中小企業が今やらなければならないことは、社長はじめ全社員がビジョンを共有し、
激変する経営環境に総力で立ち向かってゆく心、「ど真剣に、自分たちが日本を再生す
るんだ!」という勇気を持ち、前に突き進むパワーを発揮することです。
変化する市場情報を真剣に分析し、いち早く対策を立て、ピンチをチャンスに切り替える動きをする。
また、日ごろからリスクを最小限にし、安定市場、成長市場の方向にしっかり向いた経営を
し続けることが大切です。
今までの経営の延長ではもはや生き残れないことをみんなが自覚し、自ら「チェンジ!」することに挑戦しましょう。心を一つにすれば、必ず新たな経営の切り口が見えてくるでしょう。