人口減少時代の経営戦略

 わが国では、2005年から人口の減少が始まりました。当初厚生労働省の人口問題研究所は、人口減少は2007年からと予測していましたが、現実には2年も早まりました。働き手となる生産労働人口は2060年には半減してしまうというショッキングな数値となっています。これまで人口問題は年金や介護の議論が中心でしたが、今後は人口減少が企業経営に与える影響を真剣に検証する必要があります。

 「日本創生会議」によると、人口減少により2040年には全国1,800市町村の半数が消滅の危機に瀕し、その大半は高齢化が進む地方の中小都市で、若年人口の多くは仕事を求めて都市に集まり、地方人口は雪崩を打って減少していくとの試算です。そのため危機感を大きくした安倍内閣は新たに「地方創生大臣」を新設し、人口問題に取り組もうとしています。
 私たち中小企業経営においても深刻な課題が見えてきます。一つ目の課題は供給面における人手不足です。この課題への対応策としては女性や高齢者の積極的な雇用や生産性向上が挙げられます。生産性向上については、ロスの排除や効率アップのための提案が現場から出てくるよう全社一丸となった業務の改革が必要です。
 また、女性の積極的な雇用は経済に大きく寄与することにもなります、内閣府の試算によると、女性の家事や育児といった無償労働を給与に時間換算すると111兆円になり、実にGDPの4分の1に相当します。女性が働きに出れば家事・育児関連サービス消費も増え、一石二鳥というわけです。
 二つ目は需要面の課題、顧客が減り売上が確保できないということです。一生懸命に頑張るだけでは成長できない時代に入っており、厳しい競争に勝つために時代の変化に適応した戦略が必要です。商品戦略やマーケット戦略をしっかり策定し、誰が、いつ、何をという行動計画をたて着実に実行していくことが生き残れる条件となります。