ワクチンは救世主となるのか

 新型コロナウイルスが感染拡大し始めた当初は、一時的に国内外の産業に深刻なダメージを与えるものの、夏ごろには感染者数が減少に転じ、秋には通常の経済活動に戻ると思っていた人が多かったことと思います。

 しかし、現状は感染終息の見通しが未だ立たず、これから向かう冬のインフルエンザ流行期とも重なる先行き不安がある中、誰もが一日も早いワクチンの開発を心待ちにしている状況であります。
しかしそのワクチンが本当に救世主となるのか様々な心配も報道されています。

 新型コロナウイルスに対する薬は、治療薬とワクチンがあります。
ウイルスに感染した後に用いられるのが治療薬であり、ウイルスの増殖を防ぐ薬や、ウイルスにより引き起こされる病気の症状を緩和する薬があります。
一方、ワクチンはウイルスに感染する前に使う薬、いわば防御力を高めるための薬です。
あらかじめ毒性の弱い新型コロナウイルスを体内に注射し、体内に侵入してきた病原体を敵だと認識し、除去するために戦う免疫(抗体)をつくっておくことで、いざ感染した時に素早く退治できるようにしておく薬であります。
また最近話題になっているモノクローナル抗体、感染し回復した人の血液から新型コロナウイルスを攻撃する抗体を作る免疫細胞を選び出し、その細胞を人工的に増やし、副作用の少ない予防と治療の両方に使用できる抗体医薬品の開発も進められおり、大きな注目を集めています。
しかし最近、感染し一度治った人が再び感染する「ウイルス変異による二度かかり」も報告されており、ワクチンの副作用に対する安全性の担保も含めて、ワクチンが出来ればすべて解決すると安易に考えられるものでもないようです。

 ワクチンが完成しても、この新型コロナウイルスとの闘いは相当期間続くものと覚悟を決め、私たちの仕事のあり方を抜本的に見直す必要があります。
しばらく辛抱していれば過ぎ去っていくものではなく、今の現実を受け入れマスク手洗いや3 密と云う基本的な感染予防をしながら日常業務を送る。
「with コロナ」の時代に合わせ、新しい経営戦略を立て直すことが、今私たち経営者に課された課題であります。