先月シンガポールで開催された国際会議に行ってきました。これは毎年3月に日本の税理士および幹部職員300名ほどが海外で集合し、当該開催国の現況や経済状況等を、現地講師を招き研修し、我が国との今後の関連を研究するというまじめな会議であります。海外に出て国際的な変化を体感し、そのうえで新たに日本の現況を見つめ直せる大変貴重な機会として、私は15年前の第1回から参加をしています。開始早々は10名ぐらいのメンバーでしたが、年々増加し最近は会場の確保が難しいくらいの大人数になってきています。本年度はASEANの成長をテーマに地元アナリストや大学教授、金融機関、海外進出支援事業者等多彩な講師による熱い話を多く聞くことができ、改めて日本の厳しい現況を考えさせられました。
ASEANは日本の10倍の面積があり、人口は6億人、平均年齢が22歳(日本は64歳)と若く、これからの爆発的な人口増が見込まれます。それに比し我が国の人口は減少の一途をたどり、2060年には生産年齢人口が半減してしまう、つまりGDPが半分になってしまうということです。このままでは国内市場のみで生きている我々中小企業は半数しか生き残ることができなくなる計算になります。
このため海外進出の目的も、かつての安い人件費を求めて海外生産した時代から、新たなマーケットを海外に求める時代に大きく変わってきています。海外進出企業のここ5年間のデータを見るとその大半を中小企業が占めており、当初はリスクを感じてためらっていた中小企業が、生き残りをかけて日本での納入先である大企業や中堅企業についていくかたちで現地進出に踏み切った姿が目立ちます。
中でもこれまで主流の進出先だった中国より、ASEANに進出する企業が激増しています。これはASEANが日本や先進各国より高い経済成長を達成しており、今後も若者の多い人口構成により旺盛な消費や労働力があるため、海外企業の進出が進み、国民の所得水準があがり、中間所得層が増えることにより消費市場は一挙に拡大するので、大変魅力的な市場であるためです。また日本人は文化面でも東南アジアの人々により強い親近感を持っており、チャイナリスク回避の受け皿として最適と感じています。
我が社のお客様も年々海外進出若しくは海外取引に取り組まれる会社も増加しており、成功事例も増えてきています。成否のキーは日本人派遣者と現地スタッフの管理人材の確保にあります。我が社のパートナー企業の(株)JEC経営コンサルタントもお客様の海外取引をご支援するため、3年前に上海と台北事務所を開設しており、また今年度中にバンコク事務所を出す予定でいますので、是非ご活用ください。